大庭のエッセイ


「もったいない」


 「そんな食べ物を残してもったいない。」
 「ものを粗末にすると目がつぶれる。」
 こんなことを子供の頃よく言われたものだ。いまだに外食等で食べ物を残したりすると心のどこかで以前言われ続けたこの言葉が脳裏をかすめ、ふと自責の念にさいなまれることがある。私たちの子供の頃は食事で出たものは残らず食べることが当たり前。好き嫌いでものを残すことなど許されなかった。そんな私もいつしか健康を気にし、過食は控えるようになり、食事の後でも食べ残してた惣菜を目にして「もったいない」を「体のため」と言い聞かせている自分を自覚しながら複雑な心境になる。
 とくに宴席などでは比較的残さず食する方だが、周りを見る限りにおいては残飯の量が多いのにおどかされる。そんな中、仲居さんに頼んでパックを貰い、残り物を詰めて持ち帰る人がいるが、そうした姿こそ本来あるべき姿ではないかと思うことがある。 
 先のアフガニスタンのタリバン政権下の難民の様子が放映されていたが、飽食の日本のあり方に警鐘を鳴らされている思いで見ていた。

 ところで、リサイクルについていろいろ取り上げさせて戴いているが、食品に関しても法的な整備がされた。実は平成13年5月、売れ残った食品や食べ残しなどの食品廃棄物の排出の抑制および有効利用を促す「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」が施行された。
 この法律では食品の製造、流通、小売業者や外食産業などすべての食品関連事業者を対象として平成18年までに食品廃棄物の排出量を20%削減することを目標としている。また、年間の排出量が100トン以上の事業者で目標を達成出来ない場合には、勧告、企業名の公表、命令が出来るものとし、従わなかったら50万円以下の罰則が規定されているなど食品廃棄物の削減を強く促すものとなっている。
 
 ところで、私たちの袋井においても私が特別副会長をしている労働者福祉協議会で家庭の残飯を堆肥化するごみ処理機への補助金制度を導入するように陳情し、購入価格の1/3若しくは20,000円を上限に補助制度が導入され、すでに436基もの補助をしている。私の家でも設置しているがかなり良好で家庭の生ゴミは市に出さなくても良くなった。今、家庭をはじめ外食産業などから排出される一般廃棄物は0.3%がリサイクルされているにすぎないと言われているが
家庭でこうした取り組みを普及させて行くことが今後一層求められてくると思う。
 私が視察に行ったドイツでもコンポスト(堆肥)化が主流であり、焼却や埋立は最小限にとどめられていた。
 いずれにせよ、グルメ(食通・美食家)も良いが、古くから言われている「もったいない」(広辞苑:そのものの値打ちが生かされず無駄になるのが惜しい)と言う心を今一度私たちの食生活の中に呼び戻すことも大切な事のような気がする。 2001.10



詳細はohba@mxu.mesh.ne.jpまで。


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